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特別講演

宇宙ロボティクス:理論から実践へ

講師:
  東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻
  教授 吉田和哉 氏
  宇宙ロボット研究室

日時: 2016年9月8日 16:50-17:50

会場: 山形テルサ テルサホール
  (〒990-0828 山形県山形市双葉町1-2-3)

吉田先生

講演概要:
  講演者は、大学院修士課程にて宇宙ロボットの力学と制御の研究に取り組みはじめ、30年以上が経過した。本講演では、この30年間の宇宙ロボティクス研究への取り組みの歴史を紹介し、現在挑戦中の課題について述べる。
  博士研究では「宇宙用ロボット・マニピュレータの運動制御」と題して、フリーフライングロボットの力学と制御を取り扱った。その後、日本が世界に先駆けて実施した「おりひめ・ひこぼし」(1997-1999)の軌道上実証試験に参加する機会を得て、理論の有用性を確認することができた。 2003年に打ち上げられ2010年に無事地球に帰還した小惑星探査機「はやぶさ」では、小惑星イトカワの表面へタッチダウンしてサンプルを採集する技術開発に参加する機会を得て、2014年に打ち上げられた「はやぶさ2」では、小惑星表面の移動探査を行う超小型ロボット「ミネルバII-2」の開発にも参加した。 大学の研究室にて独自の超小型衛星を開発することへの挑戦も行っており、これまでに「雷神」(2009年打上げ)、「雷鼓」(2012年打上げ)、「雷神2」(2014年打上げ)、「DIWATA-1」(2016年打上げ)に取り組んできた。特に、「雷神2」「DIWATA-1」は50kg級超小型衛星としては世界最高性能の成果をあげつつある。 2011年3月に発生した東日本大震災に際しては、宇宙探査ロボットの技術を災害現場など人が近づけない危険な場所で活躍するロボットへ応用し、原発対応ロボット「クインス」の開発にも参加した。その際に宇宙放射線環境に関する知識が役に立った。 2010年より、探査ロボットを月面に送り込む国際コンペであるGoogle Lunar XPRIZEへの挑戦を開始し、日本からの唯一の参加チーム「ハクト」を技術開発リーダーとして率いている。月面上での走行を想定した小型軽量な車輪型ローバーを開発し、2015年1月には中間賞を獲得した。引き続きフライトモデル開発に取り組んでいる。その先には、宇宙プロジェクトに対する敷居が下がり、探査ロボットが頻繁に月や月以遠に飛んで行く時代がくることを想い描いている。

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