第37回日本ロボット学会学術講演会

特別トークセッション

ガンダムGLOBAL CHALLENGE

講師

株式会社サンライズ
ガンダムGLOBAL CHALLENGE プロデューサー
志田 香織 氏

ガンダムGLOBAL CHALLENGE テクニカルディレクター
石井 啓範 氏

早稲田大学 名誉教授
ガンダムGLOBAL CHALLENGE リーダー
橋本 周司 氏

日時
9月5日(木)17:05~17:55

会場
早稲田キャンパス 8号館106室


特別講演抄録
 ガンダムは、アニメーション「機動戦士ガンダム」に登場するモビルスーツと呼ばれるパワーアシスト型ロボットで、「リアルロボット」というアニメーションのジャンルの先駆けとなったものである。「機動戦士ガンダム」シリーズの誕生から今年で40年を迎える。30周年の2009年には実物大のガンダム立像がお台場に初登場、静岡での展示を経て、今では別のユニコーンガンダム立像がお台場に立っているが、連日訪れる人が絶えない。
 現在、18mの実物大ガンダムを動かすことを目指してガンダムGLOBAL CHALLENGE(GGC)というプロジェクトが進行している。世界中から幅広くアイデアやプランを募集して、様々な意見・智慧と先端の技術を取り入れながら一つのプランへと集約し、基本設計から実施設計・製作の段階に入ったところである。展示場所も横浜・山下ふ頭に決定し、「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」のタイトルのもと、来年2020年夏より約1年間の公開予定である。
 日本ロボット学会が取り組んでいる実世界で活躍するロボットに対して、アニメの「リアルロボット」は、人間世界を映しつつ現実を超えた空想の世界において実在感を有するロボットである。GGCは、実世界のロボット技術を仮想世界に膨らませることによって、実物大の「動くリアルガンダム」の具現化に挑戦する。夢が無ければ、人は遠くには行けない。現在の科学技術が実世界で実現できること<フィクションとの境界>を明示して、それを超えた次の夢への起点としたいのである。
 本講演では、GGCの異なる立場のメンバーの対話により、プロジェクト発想の経緯、実現への過程などについて「感動の創造」という視点で紹介する。
 ガンダムには、日本ばかりでなく海外でも熱狂的な支持者が多く、その哲学への共感に加えて、ガンプラを通したモノづくりの世界的な広がりについてもアイデア募集で実感した。ロボットが我が国の産業の中核となるのと合わせて、このプロジェクトを通して我が国の「もう一つの活力」を示したいと考えている。